喉の奥で何かが叫んでいた
美しい、聞きほれるような声で
だけどそれは霞んでしまった
まるでどこかへ連れ去られてしまうかのように
徐々に、徐々に
見慣れた景色に見慣れない文字を見た
信じられない光景が私を包む
いつか叶えてみせるから、と
誰かが誓ったその思いを
無下にしてしまうようだ
鬼のように危険で美しくて
そんな幻想を孕む魔術
私の右手にはその闇が宿り
左手にはそれを打ち消す光があった
両方を駆使して生み出した音は
天高くまで駆け上るだろうか
「もしも」を遮って誰かに尋ねた問いは
今は叶えずにいてもいいのかもしれない
傍に居られたらという言葉が
どの人から漏れたとしても私には関係無い
もう少し、ここで踏ん張ればきっと
あの場所に届くようになるだろうから
己を犠牲にして得た誰かの幸せはどこまでも
虹の色に溶けていく