幽遠の輪

焦がれるまま一人
揺られ心震わせて
吐いた嘘の数を
一つ一つ数えてた

痕を付けて
過去を選んだ
許されぬと知っていても
唇から零れてく
言の葉拾う

私のみの貴方の傍
それを信じて生きてきたの
なのにどうして彩(さい)を残し
私の目には映らなくなった
今でも私は未練で着飾るわ


夕音の色を分けて
「帰らなきゃ」と言うは
どちらの寂しさでしょう?
ゆるりと解(ほど)く指先

「雨が降るから
傘を持ってて」
差し出したそれを掴んで
叶うか先は見えない
「またね」を伝えた

私だけに見せた涙
拭えるのはこの指だけよ
なのにどうして貴方の頬に
触れるその指は私のじゃないの?
今ならこの身が焼かれてもいいわ


贈る物には
最後の嫉妬
添えて飾った奇跡
別れの挨拶の代わり
「幽遠の指輪」

言葉の無い恋愛をした
私の手に残った痕から
咲いた花はいつの日かきっと
優艶な花を描くことでしょう

傍に寄って冷たさに触れる
銀の縁から伝わる体温
もう二度とは分からないのだと
肯いてから立ち上がって歩くわ
「雨が降る前には帰ろうと思うの。
だから貴方も早くお帰りなさい」