見失う。
煩い 煩い 。
 
頭がかち割れそうだ。
 
そんなこと言わなくても
自分が一番分かってるからさ、
 
何でそんなに僕を責めるの?
楽しい?
 
 
煩い 煩い 。
 
今にも死んでしまいそうだ、
 
今にも死んでしまいたい。
 
僕の身体を八つ裂きにして、
そんなに可笑しいかい?
 
 
煩い 煩い 。
 
どこまでも広がる闇をあんたは知らないだろう。
 
僕はもっと深くまで落とされて
深くまで堕ちていくから。
 
首締めて皮膚切り裂いた僕を見て
絶望を知ればいいよねぇ。
 
 
煩い 煩い 。
 
小蠅が僕の周りで唸っているよ。
 
邪魔だから退いておくれよ。
 
さもなくばお前を喰らって僕の道を
己の手で切り開いてやるぞ。
 
 
煩い 煩い 。
 
 
頭の中が沸騰しそうだ。
 
苦しい 痛い 。
 
届かない、 何処に?
 
頭の中の影が大きくなって、
僕をいよいよ飲み込むつもりみたいだ。
 
腕をバタバタ振り回しても
影はちっとも消えないしさ。
 
 
そんで飲み込まれて
はい 終了。
 
真白な肌に化粧を乗せて、
綺麗に着飾って最期を飾るんだね。
 
それを見た小蠅は雀よりも僅かな見えない涙を流して、
後悔すんだろ、 そうだろ?
 
冷たい部屋でうたた寝してる僕は
それをちらと横目で見てほくそ笑む。
 
 
今度は煩い小蠅じゃなくて、
 
冷たい静けさが耳を擘(つんざ)く。
 
それは心地良くて または ちょっとだけ怖いもの。
 
だけど今までに比べたらましだから、
僕は我慢してそこで冬眠するんだ。
 
とりあえず誰かが起こしに来るまで。
 
黒い背広を羽織った紳士が、
馬車から降りて優しく僕の手をとるまでは。
 
その後はきっと、馬車で飛ぶように空いた時間を埋めてから
必要とする人の元へ。
 
再び煩い場所へ、
再び笑う為に。