波動と共鳴
僕=私、
僕≒私。
 
 
 
 
 
嘘吐きの僕と誠実な私。
 
仮面被る僕と素の私。
(生きる術でしょ?)
 
厚くて堅い殻に籠もる僕と裸の心の私。
 
知ってほしい僕と知って欲しくない私。
(あれ、これはどっち?)
 
要らない僕と要る私。
 
自分に正直で有りたい僕とそうじゃない私。
(どっちも同じで違うかも)
 
嫌われ者の僕と好かれ者の私。
 
本物の僕と偽りの私。
(どっちが本物?どっちも贋者)
 
空虚な僕と笑う私。
 
独りが良い僕と一人が嫌いな私。
(嘘、どっちも好きでどっちも嫌い)
 
ネガティブな僕とポジティブな私。
 
グレる僕と良い子な私。
(未だグレてないけど)
 
 
 
チューシャの痕が疼く、昔の痕も併せて疼く。
其処まで共鳴。
 
一つの音叉を鳴らせば、
波源から幾つも円を描いて
音は伝わる。
障害にぶつかっても粗密波は次に繋がっていく。
僕の人生みたい。
決して途切れられない捕らわれの身。
 
一つの音叉を鳴らせば、
隣合う音叉も緩やかに震えだす。
始めの音叉を止めても、
片方は鳴り続けるんだって。
僕と私もそんなん?
互いに互いを鳴らし合う?
 
366Hzの振動は、
増幅と打ち消しを繰り返して。
僕と私が存在出来るように
鼓動の振動も一秒間に同じ数だけ。
それはきっと増幅できるように、
音の波は同位相で。
 
 
 
嘘は吐いても良い?
貴方が思うより僕と私は脆いから。
僕を守るために僕は嘘を吐いて、
私を守るために私で居るから、
それでも構わないだろう?
 
物体の上っ面だけ見て
それで本質を判断した気になって、
何でもかんでも頭ごなしに否定して。
双極性の僕と私が、
いつぞやの八百万の神の一人のように
岩窟から出てこなくなったのは
その所為だなんて怖くて言えないよ。
 
……だから嘘吐きで良いじゃない。
 
 
 
片方消したら
片方も死んでしまうかな。
少しだけ余韻を残して
其の首は手折れてしまうかな。
 
でもきっと、
新しい僕と私が
波動のように、波源から産まれる。