確定条件
撃ち殺した烏が 
歪めた目の奥。 
飛び出る直前の 
果てしなく稚拙な 
濁ったビー玉。 
 
その黒い嘴(くちばし)が 
黒い物体の赤い腑(はらわた)を弄(まさぐ)って 
その姿を見てしまったから 
逆にこの人間様が 
御前の腑を弄ってやる。 
 
白い冷たい凍えそうな 
季節外れの大雪の中 
其れを深紅に染めながら 
背徳を誓った。 
 
 
千切られた内臓を 
丁寧に丁寧に切り離して 
再度入れて。 
綺麗におめかしでもしようかと 
道具を持って笑うんだ。 
 
御前の羽根を一枚ずつ剥いで 
御前の羽根で建造物(モニュメント)でも造って 
御前の血で染まった雪で 
頬染めや紅でも作ってやろか。 
 
 
御前はどんな死に様が良いよ? 
御前はどんな墓が良いよ? 
烏の耳も口も役目を果たさないけど 
一応聞いてやる。 
但し死に様は確定条件。 
 
人間様に不愉快な気分を与えた御前は 
自分が何が故に撃ち抜かれたか 
永久に知ることも無いだろう。 
弄られた気分はどうだい? 
最期の姿は哀れじゃないか 
最後の肉片を落とした。 
 
 
眼前の景色は非常に良いと 
誰か明言してはくれないだろうか。 
狂気に満ちたような雄叫びは 
遠くで耳を掠るのに 
この身体は雄叫びを上げないのだ。 
だから誰かこの行為を 
正当化してくれ。 
 
御前も人間様も同じだ 
ものの条理は心得ているつもりだ。 
寂々(そうぞう)しいから 
飽くまで奇矯(ききょう)を続けるだけ。 
嗚呼、 
御前が死んだことで 
掻き暗す者は居るのか? 
 
 
さはれ、 
御前も人間も死に様は確定条件などとは。