声が枯れるくらいに叫んだとしても
わたしのコエはあなたのミミに届かない。
必要だと、言って欲しかった。
泣いていいと、言って欲しかった。
大丈夫だと、言って欲しかった。
頑張ってと、言って欲しかった。
だけどこの気持ちは
表に出せずに消えていった。
あなたに伝えることも叶わずに、
不本意に産み落とされた幼子のように
ただ消えていった。
この声が枯れるくらいに叫んだなら
あなたに届くかしら?
なんて考えても無駄ね。
足掻いても藻は絡まって、
わたしの身体を深く沈めていく。
腫れぼったい喉から
圧迫された肺から
鷲掴みにされた心臓から
串刺しにされた胃から
何が滴り落ちても、
きっと地面に鮮少(せんしょう)な染みを作る前に
蒸発してしまうだろう。
それがわたしは嫌だから、
何も構わず消え去ってしまうなんて
ただ惨めで仕方ないだけだから、
わたしは願いをかけた。
誰かの心に残るように。
だけどそれではエゴだけだから、
じゃあ
誰も泣かないように、
悲しまないように。
そう願いをかけた。
それでもあなたが必要だと言うのなら、
わたしは喜んで生き長らえようと言うのに。
そうとは言ってくれない無慈悲な人。
それなら、ずっとあなたの心には残れるようにって、
薄ら笑いを浮かべながらわたしは逝こうかしら。
朝になったら死んでた、
なんて掻き暗すよう。
それもわたしの為の終わり方なら、
冷たい御影石にキスでもして
あなたの見上げた空でも
永遠に見上げていたい。
必要と言って。
声が枯れるくらい叫んだとしても
あなたのミミには届かない。