雲と天馬と青空の私
生温い風が勢い良く
真っ白で重たそうな雲を押す
私の首は上を向き
俯くことを知らない
 
 
冬にしては暖かい日
春にしては早すぎる日
それでも春の先走りを感じて
梅より先に愛しさが胸に咲いた
 
 
 
「貴方は青空だ」と
内心訳の分からぬ喩えに苦笑する
君はどうも突拍子の無いことを
口にする傾向にあるようだ
 
 
だけどそれは私にとっては
双無き嬉しいものという
何とも可笑しな矛盾(コントラディクション)
嗚呼、風が強い
 
 
この風の強さを
最後に感じたのはいつだろう
それは何処にいたときだろう
もう一度をこの風程強く望んでいる
 
 
 
少し冷房の効いたバス
互いに干渉を持たない空間
窓から見える大袈裟な木の揺れが
まるで私の無関心(アパシー)を叱ってるよう?
 
 
 
きっと今頃君は
この風を受けて苛立っているかな
己の大切な人たちと繋がる空に
繋がらない言葉をぶつけてみる
 
 
「あの雲はなんの形?」なんて
私は天馬(ペガスス)にしか見えないよ
運命に口出しする
心安い神託(オラクル)に居るような
 
 
 
空調の匂いに思考を邪魔されて
早く外に出させてくれと
無言のままに願ってる
私の願いは自由な青空
 
天翔る馬の居る広い空。