月と鼈
今、ここで、私が
「好きだよ」
って 冗談めかして言ったら
君はどうするのかなあ。
 
内心引くでしょ?
ねぇ ねぇ?
 
いきなり何って?だって、
ただの 友達
ただの クラスメート
それだけの関係なんて、虚しいじゃない。
 
だけどきっとそれは、
君を傷付けて、悲しませちゃう。
うん
そんなの分かりきったこと。
だから私は、そんな哀れな台詞言わないもん。
 
 
今はまだ、返事は要らない。
「ごめん」なんて欲しくないから。
それを聞く勇気なんか、これっぽっちも持ち合わせちゃいない。
 
些細な幸せに浸ってればいいの。
側で
「勉強分からなぁい」
とか、今どきの学生みたいにしてればいいの。
 
 
 
じゃあ。
今、ここで、私が
「好きだよ」
って 本気で言ったら、
君はどうするのかなあ。
 
やっぱり引くでしょ?
ねぇ ねぇ?
 
それも駄目か。
そりゃそうだよな、どんな私でも君には不釣り合いなんて
月と鼈(すっぽん)。
 
 
せめてさ、せめて。
友達 の立ち位置はキープしてもいいかな。
親友 のポジションだって要らないから
輪から外れたとこから見れるように。
 
 
 
そう思って、
「ああ、昔もこんなん思ったっけな」
って思い出した。
 
キミに貸した赤ペンは、
もう私の手元には無いのだけれど。
キミの笑顔も もう、
私に向けられることは無いのだけれど。
 
今は君だけでいいやなんて
余裕ぶって 心でウインク。
あの時の言葉、私は覚えてるから、
私だけ覚えてればいいかなって
何となくポジティブにいける気がした。
 
 
それでも本当は、
「好きなんだ」
って言ってやりたい。
叶わない不毛な恋を止める気は毛頭無い。
 
その笑顔と優しさを感じられれば、
それでいいんだって。
例え君が女の子でも。
 
 
それだけ君に、
惹かれてるんだって。