秋空
秋の匂い。いつの間にか秋なんだと思わされた。
冷たい冬のような風が頬を刺す。
枯風に唇が乾いた。
こんな時に言えれば良いのに、ねぇ。
「こんなに寒いのは、貴方がいないからですよ」なんて、
言えるはずもないのだけれど。
 
 
メールに添付した空の写真。秋晴れ。
久々の写真だからきっと驚くだろう。
人工の空に見えても、色褪せて見えても、
あの透明な心に残るなら。
本文は添えずに送信する。今言えば、止まらないから。
 
 
こんなにセンチメンタルな日には傍に居てくれれば良いのに、ねぇ。
そんな我が侭、言わないけれど。
せめて、声くらい。なんてね。
きっと声を聞いてしまえば会いたくなる。
だから件名に一言だけ。
「貴方の上の空は、
綺麗ですか?」