背中合わせ
一人きりだなんて、特に、別に思わないけど。
だけど暗い部屋は怖くない、なんて
嘘はつかない。
偽りはいらない。だから愛も無い。
なのに暫くすればあの匂い。
ふわりと漂う貴方の匂い。
帰る場所はここなのだと、
厚い壁越しに言われても、
嬉しくもなんともないけれど。
少しくらい期待する。昔に置き忘れた
"期待"を。
 
 
互いの存在は主張しない。
空気よりも軽い関係。
それが嫌で、
それが苦痛で、
でもそれが心地好いなんて
口が裂けても言わない。
 
 
言えない。