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失ってから気付く、
そんな僕はガキですか?
 
 
 
 
一瞬だけ見たその夢に
色も温もりもあったなんて言わないけれど、
手に残った感触は
本物だと信じたい。
 
信じれば真実になると言うのならば、
いつかその夢が本当になりますようにと
願わざるにはいられない。
 
 
懐かしさも怖さも嬉しさも
全てを兼ね備えた夢。
それに出てきたキミは
一体どのキミ?
 
 
突然流れたある音に、
大好きな唄を重ねて。
傍にいる影に、
大切な人を重ねて。
心の海の奥底に
本当の気持ちを押し込んで、
さも逆かのようにおちゃらけてみせる。
触れた手は見えない角度で。
何でもないです、と抱き付いてみせる。
 
 
わたしが望んだ結末じゃなくて、
むしろ避けたい結末であって、
あれが夢だと知らされても、
この余韻に浸りたい。
 
未だ遠くで唄は続いている。
同じように夢も続くだろうか。
 
 
もう一度(ひとたび)目を閉じてみる。
鮮やかな音があればいい、
鮮やかなキミも居ればいい。
美しい唄を紡ぐ口が開く前に、
その夢は終わってしまうのだけれど。
 
 
失う前に、その手で抱き締めて。
別れる前に、その手で捕まえて。
わたしが離した右手を
もう一度握り返して。
そうすればもしかすると、
またキミに会えるかもしれないでしょ?
 
 
信じれば信じるだけ
キミが傍に居る気がしてくる。
だから、もう少しだけ、
信じてみてもいいですか?
 
 
今度見るその夢に、
色も温もりもあるといい。
そんなことを願う僕は
世間知らずのガキですか?
 
 
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