自由なんてない、
その気持ちを共有して安心感を得ていたのに、
結局はおれを置いて行くの?
暗い鳥籠にそれぞれ居た。
存在なんて薄っぺらいもので、
ソレを証明するものなんか無くて。
今にも消えて忘れ去られてしまいそうな
そんな自分。
必死で自分を求めてくれる人を探して、
ようやく見つけた二人。
おれは嬉しかった、
自分と同じ境遇だからこそ安心出来た。
誰にもバレないように、
おれたちはこっそり逢った。
きっと端から見たら、
只の仲の良い幼なじみに見えたかな。
おれたちはそんな間柄を望んでいた。
そんなんじゃなかったから。
相手の話を聞いて、
同情して、
笑って、
泣いて、
怒って。
何でもかんでも共有させた。
「おれのものはお前らのもの」
そんな優しい三角関係。
だけどね、きっと心の中では
偽りだっておれは知っていたんだ。
おれは全て偽ってたんだ。
その方がみんなが幸せになれるから。
結局独り善がりな勘違いだったけど。
自分自身を騙し続けた。
この正体を気付かないフリをしてた。
あくまで仲間だと思い込んだ。
それは脆い殻でしかなかった。
あの日に、いとも簡単に崩れるくらい。
おれは独りに変わりはなかった。
一生変わらない事実、
それなら表向きだって事実のままで良いのかもしれない。
孤独を二人に伝えないようにして、
一人で世界を呪った。
いつだって三人で居た。
誰かを二人で庇い、守った。
そして互いを支えあった。
世界はこんなにも鮮やかに見えた。
きっと、他の二人にとっては
現実だったろう。
初めは間をおれが取り持っていた二人。
いつからか、おれは一歩後ろから見つめている立場になった。
二人の中に入れなくなってたんだ。
あれだけ一緒に居ようって言ってたのにね。
おれの口角は綺麗に三日月を描いた。
月日は冷たく流れていき、
三角関係はいつしか収まりの良い形に変わっていた。
おれは笑って送り出した。
「アンタらには鳥籠は似合わない」
手を振っている姿が滲んだのは何故?
素直になれ、と自分でも思う。
でもついた嘘は最後まで突き通して。
恨めないのは、それだけ大事だったからかな。
今でもそれは変わらない。
嫌な役を買って出たのは、それだけ大切だったからかな。
そうに決まってる。
届くか届かないかの距離で溜め息に乗せた「愛してた」は、
今まで見たことないくらいの白い雪に溶け混ざった。
約束シタノニ、マタ独リ。