I don't want obscure kiss.

 好きか、嫌いか。

それが分からないような曖昧なキスならいらない。
 
 
 
 
好きか、嫌いか、と言ったら
どちらかと言えば好きな方、
と答える。
自分が曖昧にその質問をかわすのは、
他でもないアンタの所為。
言えるなら言うよ、
「好き」くらい減るもんじゃないし。
だけどオレが溺れてたってアンタは気にしない。
オレはどうだっていいんだろ?
 
たまには心配かけたくなって、
大雨の中飛び出してみる。
必ず迎えに来て、
優しく「帰ろ?」とか
(きっと心にもないことを)
言うもんだから、
もう一度許してしまう。
 
甘いって分かってる。
だってその後は何もない、
甘さもないお座なりな空間。
少しくらいくっ付いてもいいじゃんか。
もっとこっち見てよ、
そろそろオレだって辛いんだよ。
 
 
何も伝わらなくなってから幾ら経つ?
「好き」も「愛してる」も
オレからの一方通行。
知ってた?
今では唯一の「俺も」すら少ないって。
 
このままで許されるなら、
オレは自分を犠牲にしたって良かった。
でもそうはいかないんだって、
気付いちゃってさ。
1日が24時間で足りないなら、
オレの入る隙は無いね。
 
 
笑ったつもりなのに、笑えてなかったみたい。
「何でそんな顔すんの」が
頭の中に木霊する。
優しいなんて、暖色の目なんて、
辛いだけなのに。
思わず振り払えば、
物凄く傷付いた顔。
そんな表情(カオ)しないでよ、
逆にコッチが苦しくなるから。
 
 
別れ際は何て言おうか。
何て言うだろうか。
オレなら「ありがとう」かな。
そう口から言葉が零れそうだ。
空調の止まった部屋、
この気まずさを打破するための言葉。
オレはありがとうって言った。
 
そのかっ開いた目を見て、
まだ終わっちゃいなかったんだなと。
その瞳の奥に感情見つけたら、
余計に決心揺らぐじゃない。
今追い討ちかけて言わないで。
開きかけた口に祈る。
言葉にしなきゃわからない。
でも今更言われても困る。
オレの頭ん中、それでぐちゃぐちゃ。
 
口は閉じたのに、手が伸びて。
無言の圧力、行くなって。
切なそうな笑顔は嫌いだ。
 
「……嫌いだ」「知ってる」
の攻防戦。
きっとアンタはオレが行けないと、
大いなる確信を得てして
そんな顔してるんだろう。
嘘吐きの癖に、嘘下手。
 
それで最後にアンタが折れて、
「ごめん、愛してる。」って囁いてくれる。
だから、もう少しくらい良いかなって
思っちゃうんだ。
この稚拙なレンアイを繰り返しても。
そうして5年が過ぎていた。
 
 
ねぇ、曖昧な口付けはいらない。
好きか、嫌いかハッキリさせて。
そしてオレに、
甘い愛を騙って?