弾かれた体温

空回り、声のトーンもだだ下がり。

夢に飛び散った赤い雫は今もまだ

枯れることなく滴っている。

 

 

浮かんでは、沈んでく。

夢と現の合間で広がるおハナシ。

痛みの穴は徐々に大きく、

手の中の温度は急激に下がる。

 

「嫌だ、嘘だ」の叫び声も

フィルターに通した篭もり声。

体は操り人形で、心は枷を嵌められて。

「イヤだ、ウソだ」で満ちている。

 

目が回るような傷痕に

塩を塗り込む勢いで、

影の姿が浮かび上がる。

ああ、ソレはキット己の——ダ。

 

 

抉られたものが描いた未来、

不思議な頷きの本意など、

理解不能で怖いようなぐるぐるグルグル廻ってる。

 

「嫌だ、嘘だ」の金切り声が

虚空を切り裂きここまで届く。

同じ手口で引き合わせ、"幻であれ"と望ませる。

「イヤだ、ウソだ」で遮った。

 

足が重くて走れずに

それでも己を守ろうと、

振り上げた鋭い先端で。

ああ、コレはキット己が——ダ。